アルゼンチン、メンドーサ
昨日の失敗を糧に、今日は細心の注意を払ってレストランを選ぶ。いっぱい人が入っているレストランを選び、その中でも美味しそうな料理を実際に見てから注文することにした。考えてみれば昨日のスパゲティは現物を見ていないのに注文したという重大なミスを犯していたことに私は気づいたからだ。
何度か繁華街を往復するうちに、私達はあるレストランと料理に見をつけた。太ったおじさんの食べているピザである。この太ったおじさんはグルメに違いない。
早速このお店のオープンテラスに座りピザを注文する。10分程、コーラを飲みながら待っていると待望のピザがやってきた。たっぷりチーズにオリーブやスパイスがかかっていて、簡素ながらも美味しそうだ。私は期待に満ちてまずは一切れを口に入れた。
「なんだこりゃー!」
その味は食パンにチーズをのせただけの味だった。スパイスもかかっているのだが、全くと言っていいほど味がしない。ジューシー感などカケラもなくパサパサだ。唯一オリーブだけが味にアクセントを出しているが、それ以外は拷問に近い味だ。
あまりのショックに私は愕然として手を止めていた。するとその時、私の脇あたりからいきなり誰かの手が出てくるのが見えた。
いきなり手を出してきたのは子供で、その子は何かを言っている。唐突すぎて何を言っているのか全くわからなかったが、隣りの席に座っている家族が食べかけのピザ一切れをその子にあげたことで、ようやく理解できた。とてもショックだった。その子は物乞いではなく乞食である。今までの国では貧しくてお金を欲しがる人達はいても、食べ物を欲しがるほど貧しい人はほとんど見たことがない。しかし、この国ではそういった子供がいるのだ。その子はピザを受け取ると礼も言わずあっと言う間に走ってどこかへ行った。
こんな美味しくないピザでもねだる子供がいるということに、大きなショックを受けながら、私は食べかけピザのテイクアウトをお願いした。
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