アルゼンチン、メンドーサ
メンドーサには動物園があり、南米でも南極に近いパタゴニア地方の動物がここにはいるという。町中からは少し離れたところにある為、バスに乗って行こうと試みたが、バスターミナルで誰に聞いても知らないという。バスターミナルで迷っているようなそぶりでいると、やはり目立つらしくあまり良くない視線を気にした私達は、タクシーで動物園に向かうことにした。
動物園のゲートをくぐると、いきなり子猫がお出迎えをしてくれた。ちょっと間抜な顔の愛嬌ある子猫は、ちょっと遊んであげると夢中になりはじめた。私達は面白くなって、そのまま子猫と遊ぶことにした。もう動物園はそっちのけである。
小枝の先で、子猫の周りをぐるぐる音を出すと、子猫は夢中になって小枝に飛びかかる。ちょっと態勢が悪くなると、私の後ろに隠れてから小枝に飛びかかったり、寝そべりながら体を反転させてすごい形相で小枝を噛もうとしたりと元気に遊びまくる。その姿は獣そのものである。そんな調子で十分程遊んでいると、突然子猫が動かなくなった。日陰で小枝を狙っている態勢のままピクリとも動かない。どうしたというのだ。
心配になって顔をのぞきこんでみると、子猫はゴロンと横たわり、なんとそのまま寝てしまった。一瞬死んでしまったのではないかと心配してみたが、しっかりと息をしていた。その警戒心のない姿に思わず「かわいい…」と声が漏れてしまった。とはいえ、このままだと動物園の入口しか見ないまま閉園時間になってしまいそうだったので、子猫を人に踏まれないベンチの裏へそっと運んだ。その間子猫は目覚めることなく、ぐっすりと眠っていた。
動物園の敷地は結構広いのだが、ひと通り見てまわるのには1時間程しか、かからない。広くてもさほど多くの動物はいないし、動物の檻は狭くほとんどの動物は寝ているだけだったからだ。それなのに結局パタゴニアの動物を見つけることすらできずに消化不良のまま動物園を後にしようとした。最後にゲートにいた子猫を探してみると、眠りから覚めたらしく他の観光客の家族に遊んでもらっている。この動物園には子猫と遊ぶことが楽しい動物園だと言えるだろう。そうして私達は子猫を遠めで見ながらメンドーサ動物園を後にした。
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