旅立ち編

アルゼンチン、メンドーサ

グローリーの丘

メンドーサ動物園から程近いところに、グローリーの丘と呼ばれる場所がある。そこはアルゼンチン独立の英雄サンマルティン将軍の像が聳え立ち、その丘からの眺めは素晴らしいと聞く。

私達は、メンドーサ動物園からタクシーに乗り、グローリーの丘を目指した。特に見たいものがあったわけではないが、一端の観光客たるもの、その土地の見所と呼ばれている場所には行っておかなければいけない気がちょっとだけしたからだ。

グローリーの丘の麓まで来ると、タクシーの運転手がなにやら道行く人とすれ違う度に話しかけ始めた。どうやら丘の上まで行く道路が工事中らしい。むむっなんだか雲行きが怪しいぞ…。そして結局、私達は丘を歩いて登ることにした。

アルゼンチンの気候は乾燥している上に、この道のりは日陰がない。持っていた水はあっと言う間に底をつき、どこまで登れば丘の頂上につくのかもわからず、すれ違う人もまるでいない。こんな状況は町に程近いところで遭難してしまったような感覚に陥る。そしてこんな状況から想像すると、頂上はとっても寂れていて水を飲むことすらできないのではないかという不安が頭をよぎる。だが今更引き返す訳にもいかず、ただひたすらと丘を登ることにした。

20分ぐらい登っただろうか、丘の頂上付近がようやく見えてきた頃、頂上までの道になぜか車が走っている。あれれ、工事中じゃなかったのか、それに今まで一台もすれ違ったり追い越していったりする車はなかったぞ。頂上付近に着くと、ようやくその疑問は解決した。どうやら丘に登る道は二つあり、片方は道路工事をしているが、もう片方は車が走れるようだった。なんだいまったく。

丘の頂上に着くと、サンマルティン将軍の像も修復工事中だった。それでも100人ぐらいの人が丘からの眺めを楽しんでいた。勿論、全員車で来ている。私達は小さな売店で高い水を買い、一気に飲み干すと丘からの眺めを楽しむことにした。

グローリーの丘からの眺めは、想像していたよりもずっと素晴らしく、はるか遠くには山々が聳え立ち、その麓には寂しげな集落がぽつんと存在していた。この山々の奥には、あの植村直巳も登ったことのある南米で一番高いアコンカグア山があり、その登頂ルートとして立ち寄る集落なのだろう。

しばらく心地よい風を受けながらたたずんでいると、子供達の大きな集団がやってきた。50人ぐらいはいるその集団から、大人の女性が私達に話しかけてきた。どうやら小学校のサマースクールでグローリーの丘に訪れたらしい。子供達は東洋人の私達が珍しいのか、じろじろと好奇心に満ちた目で見てくる。そして終いには大変な騒ぎになってしまった。どこの国でも子供達は元気だが、アルゼンチンの子供は日本の子供に比べてもっと活発で元気な気がする。活発なことだけが良いとは思えないのだが、少なくともこの元気なところを見ていると、丘に歩いて登った疲れも忘れて元気になってくる気がした。やっぱり子供は元気が一番だ。

帰りはバスかタクシーで宿まで帰りたかったのだが、結局どちらもつかまえることができず、長い道のりを歩いて帰ることにした。まあ節約にはなったな。

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ホラティウス

最終更新日 : 2007-07-13サイトマップ連絡先 | © 2006 Travel Around the World in 18 Months.