人と大地の躍動編

ブラジル、サンパウロ

街を歩く時

ブラジルには貧困層の人達が集まって暮らしている地域がある。そしてその地域はファベーラと呼ばれていて市内のあらゆるところに点在している。散歩をしている最中にひとつ道を間違えて通るとファベーラに足を踏み入れてしまうことになりかねないのが、ブラジルの気をつけなければいけないところだ。しかしどうしてファベーラが点在しているのか、実はそれには理由があるのだ。

ブラジルでは持ち主がいなくなったりして空家になった家屋は、慈善団体に寄付されることになっている。そして慈善団体はその家屋を貸し出すことになっているのだが、家屋の修繕は借りている人が行なわなければならないことになっているのだ。そうなると修繕の行き届かなくなった家は廃墟のようになる。しかし法律によってこのように寄付された家屋を売ることは禁止されている為、廃墟のようになった家はそのまま放置されることになる。そしてそこに貧困層の人達が住むことによって、ファベーラができるのだ。

そして、ファベーラではないが、ファベーラの人が昼間、街の中でたむろしている場所がある。例えば橋の袂やスーパーの脇、ただの道端等。彼らが特別に怖いことをする人達ではないのかも知れないが、傍を通る人を見る目つきは怖い。私達はできる限りそういう場所を避けて通った。どうしてもその場所を通らなければいけない時もできるだけ距離をとって、さっと通り過ぎるようにした。世界中色々な国でも立ち入ってはいけない地域というものが、少なからず存在しているが、これほど立ち入ってはいけない地域が点在している国は他にない気がした。

観光客というものが犯罪の対象として狙われやすいのは世界中で共通しているところだ。旅をするということはそれなりにお金やカメラ等を持っているからだろう。しかし、ブラジルでは日本人が目立ちにくいというメリットがある。特にサンパウロには東洋人街があるので尚更だ。私達はブラジルでの滞在中、好奇の眼差しで見られることは一度もなかった。こんなことは始めてだ。しかし、そんな状況でも、ひと目で観光客かどうかを判別できる方法がある。それはビーチサンダルである。

ブラジルのサンパウロでは街を歩く際、ビーチサンダルを履いている人は貧困層の人か観光客だけだ。ビーチのない商業地域であるサンパウロの地元人は半ズボンの時でさえも、きちんと靴を履いている。なのでビーチサンダルを履いているとすぐに観光客だとわかってしまうのだ。

ブラジルでは犯罪に銃が使われる場合が多い。いわゆるホールドアップ強盗である。なので、強盗にあったら抵抗してはいけない。その為、私達は常に“ダミー財布”というものを持ち歩いていた。ある程度の現金だけを入れておいて、非常事態にはその財布を躊躇せずに渡せるようにしておく為の財布だ。今のところ、この財布を手放す事態には至っていないのだが、普段の買い物にも使い勝手がいいのでなかなか重宝している。

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真実は小説より奇なり。

マーク・トウェイン

最終更新日 : 2007-08-04サイトマップ連絡先 | © 2006 Travel Around the World in 18 Months.