メキシコ、メキシコシティー
人類の歴史からメキシコの歴史や伝統工芸まで、幅広い内容が展示されている国立人類学博物館は、世界でも有数の規模を誇る博物館だ。訪れている人々の中には、地元の学生も数多く見られる。そして写真撮影が許されているのがうれしい。
はじめの部屋には、人類が誕生してから歴史と、その狩猟や農耕方法の様子がジオラマ化されて展示されている。小さな人形の顔が意外にもリアルで怖い。獲物を追う目は真剣そのものだ。
次の部屋からはメキシコで有名な遺跡についての部屋が続く。赤青黄色で彩られた半人半鳥の壁画や、現世の生き物ではないような動物が象られた壁の彫刻が並ぶ。当時アステカの首都であったテノチティトランの姿を再現したジオラマ。その他、メキシコにある数々の遺跡が大きな回廊のような部屋に区切られている。
アステカの部屋は博物館の中央に位置して、数多くの展示品に囲まれていた。この博物館の目玉でもある太陽の石は、1790年マヨール広場で発見されたとのこと。この石にはアステカ暦が記されていて、アステカ人の宇宙観をシンボル化してあると言われている。
テオティワカンにアステカ、モンテ・アルバンやマヤ、パレンケにチチェン・イツァーといった有名な遺跡の展示が並んでいる。それにしてもメキシコには多くの遺跡が残っているものだ。
エルナン・コルテスによってアステカが征服されたのは西暦1521年。日本では室町時代にあたる。鉄器を持たなかったアステカが、ヨーロッパから見れば軍事力も建築技術も遅れていたことは間違いない。しかし、文明と呼ぶにはあまりにも新しい年代だ。
これらの遺跡を文明という言葉のイメージによって、とても昔の人々が造ったもののように思えてしまうが、実際はたった500年前の文化が残っているのだと思えば納得できる。
この博物館には、大きな遺跡だけではなく、小さくてとてもコミカルな土器も展示してある。プレインカと同じように楽しみながら作ったのであろうその土器は、見ていてなかなか面白い。
博物館の二階には文化としてのメキシコの歴史が展示されている。伝統的な結婚風景や異形の仮面。楽器や衣服など。なかでもカラフルなビーズで装飾された置物は、今でも作られていているもので、造形だけでなく質感や色のパターンが面白い。
一通り見終えたところで時計を見ると、博物館に入ってから約3時間が過ぎている。いやぁ見ごたえ満点の博物館だ。
14/50