エジプト、カイロ
スポットライトの中で踊る彼女の動きは、まるで巫女の踊り。見ている者をひきつける。銀色の衣装は、スポットライトの色で赤や青へと次々に変わる。彼女は軽く目をつぶり、ゆっくりと回転を始めた。回転するたびに長く切れ込みの入ったスカートが広がる。
今日は、ナイルグループのベリーダンスフェスティバルに来ている。エジプトでは、毎年二つのベリーダンスフェスティバルが開催されるのだが、ナイルグループはそのうちのひとつ。
そのオープニングガーラで踊るアスマハンは、エジプトベリーダンス界におけるスーパースターのひとり。今、目の前で彼女の踊りが始まった。
楽団によるメロディーが流れ始めると、ステージの上にある大きな卵のようなものの中から、彼女はゆっくり現れる。
彼女は踊る。女性的で繊細でありながら、芯に力のこもる踊り。何かに祈るように踊るその姿に、目をそらすことができない。
音楽はアラブ民族的で、重くゆっくりとしたテンポ。バイオリンのような弦楽器の音が主旋律としてメロディーをつくる。
彼女は、楽団が奏でる音楽と並列して踊っている。音楽にのって踊っているのではなく、自らがメロディーとなって踊っていた。
やがて音楽は段々と小さくなり、タブラの音だけが会場に響く。その音にあわせて、彼女は踊りのセッションを始める。
タブラの抜ける音に、彼女はおなかの動きだけであわせる。彼女はタブラ奏者に集中し、おなかを出したり引っ込めたりして、アンサンブルを奏でる。
そしてその時はきた。掛け声とともに一気に激しい踊りに変わり、合奏もそれに続く。会場からは掛け声と拍手でそのパフォーマンスに応える。
音楽と踊りの抑揚に、心揺さぶられるものがある。アスマハンの踊りは、見ている者を楽しませてくれる踊りだ。
次回へ続く…
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